セックス、ドラッグ、コード ブルー?
確かに同局の10月クールの改変率(番組の変わる率)はゴールデン帯(午後7時~10時)34・3%。プライム帯(午後7時~11時)29・8%という大規模なもの。45か月連続で月間視聴率「三冠」を続ける日本テレビの10月期番組改編発表会見も5日に行われたが、ゴールデン帯の改編率は「ほぼ無改編です」(岡部智洋編成局次長)という4・8%。両局を比べると、フジの改変は、まさに大改造と言えるものだった。
配られた資料の1ページ目に書かれたのが、「『変える、変わる』ためにフジテレビを“reboot(リブート)”します」という大文字。キーワードは「再起動」を意味する「リブート」。資料には「美辞麗句を並べるつもりはありません。フジテレビが生まれ変わるために、フジテレビは頑張ります」という悲壮な文章まで添えられていた。
象徴的なのがテレビ朝日系「報道ステーション」終了後、三顧の礼で迎え入れた古舘伊知郎氏(62)の「フルタチさん」(日曜・後7時)の終了。同番組は昨年11月、常に20%前後の平均視聴率をたたき出す日本テレビ系「イッテQ!」などがひしめく日曜の激戦区に乗り込んだものの、最新3日放送回の視聴率が4・7%と“惨敗”。1年での同枠撤退となった。
「報道ステーション」降板後、初のレギュラー番組だった古舘氏にとっても、無念の降板となったが、「リブート」の舞台として同氏司会の新番組「モノシリーのとっておき~すんごい人がやってくる!~」が金曜・後7時枠で用意された。
立本編成部長の「非常事態」発言は、この古舘さんの番組の終了、そして“異動”について聞かれた際に飛び出したものだった。「『フルタチさん』が1年で終わってしまうということですが、今、何をするかということで考えた結果。今の非常時に置いて、何をするかということです」。BSフジで16年に渡って編成に従事。今年4月からフジの編成部長に就任した“編成のプロ”は引き締まった表情でそう言った。
確かに10月クール開始のドラマでも、フジの「本気度」は伝わってくる。最新の平均視聴率15・4%と絶好調の山下智久(32)主演「コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~THE THIRD SEASON」の後を継ぐ同局の看板枠「月9」には初の「月9」主演となる篠原涼子(44)の「民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?」。篠原は自慢のロングヘアをバッサリ切って登場するという。
火曜・後9時の「明日の約束」に主演するのは2年ぶりの連ドラ主演となる井上真央(30)。木曜・後10時の「刑事ゆがみ」主演の浅野忠信(43)は初の民放連ドラ主演。「初」「~年ぶり」という言葉が並ぶ大物俳優集合に「ドラマのフジ」復活にかける思いが伝わってくる。
一方で報道部門でも市川紗椰(30)がキャスターを務めた「ユアタイム」を1年半で終了させ、局アナとして大事に育成してきた椿原慶子アナウンサー(31)と松村未央アナウンサー(31)をキャスターに据えた「THE NEWS α」を10月2日からスタートさせる。立本編成部長は「局アナに代わったということで前とは全く違った形。基本に立ち返った形でニュース、スポーツを真摯に伝えたい」と力こぶを作った。
そうだ。「真摯」という言葉もキーワードだ。6月28日の株主総会で退任した亀山千広氏(現BSフジ社長、60)時代、広告収入など本業の利益を示す営業利益は4年間で約4分の1に減少。この不振からの脱却には真摯に、根本的に「変わる」ことしかないのだ。
改編発表会見に同席した石原隆編成統括局長(56)は過去、三谷幸喜さんと組んだ「王様のレストラン」「古畑任三郎」などヒットを連発した名プロデューサーだった大物テレビ人だが、会見後にあいさつすると、「作り手の本気度が伝わる会見ではなかったですか?」―。巨体を揺すって、そう言った。
(https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170906-00000127-sph-ent)